難しくてまるでウンチクをのまされているみたいなコーヒー

あるお客様から「今サードウェーブ系流行りだけど、こういう浅煎りが流行ってんですか? こだわりの豆らしくて高かったんだけどね。正直、不味くて飲めないんだけど、オーナーさん悪いけど飲んで見てもらえないですか?」とコーヒーを手渡されました。

"ファーストアタックはいきいきとしたフレッシュオレンジ。フルーティーさの中にもほのかに感じるブラックペッパーやシナモンのスパイシーなニュアンス。豊饒なテロワール(土壌)を想わせるしっかりとしたボディは奥行きがあり複雑な味わい。余韻にお香のようなウッディなアロマが漂います。高貴な果実のようなこの・・・(略)"

これワインの能書きかと思ったらなんとコーヒーの説明ですよ。あ、そのお店を特定されないように文章は加工していますよ。てかこの紙だけで幾らするん?価格に上乗せだよね~。 

挽いているときから青臭かったんですが、試しに飲んでみたら酸っぱーい!青臭ーい!芯まで煎れてなくて生焼けに近いです。浅煎りにもほどがあるでしょって感じ。これで100gあたり1000円以上もするらしく高いから売れてなかった?? 酸化した臭いも混じって更にキツかったです。

嗜好品だから焙煎具合やその店がつけた価格を正しいだの間違ってるだのは無いです。だから何とも言えないけど、少なくとも自分の好みではないし、丈夫なはずの胃がムカムカし始めています。中米のなんちゃら農園の浅煎りの豆…捨てるには忍びないのでちょっと煎り足して脱臭剤になってもらうことにします。

自分の感覚ではコーヒーって特別なものではなく、ごく普段の飲み物だから、何か特別なモノ的であるような過剰な蘊蓄は正直ノーサンキューです。お客様も「ホッとするための飲み物なのに、最近はどんどん高くなって、そして難しくてまるで知識をのまされているみたいだなぁ」っておっしゃってました。お客様の実際のニーズとコーヒー業界が儲かるように持っていきたい方向との間に、大きな溝があるような気がしてなりません。先の豆の説明も、付加価値をつけて高く売りたいのが一字一句に透けて見えるような感じですもんね。ナンボ商売でも自分はあそこまでは書けないなぁ。コーヒー屋より文章家を目指した方が成功すると思うよ。ある意味尊敬するし、もし自分がコーヒー豆だったら恐縮しちゃいますね。
「オレのこと高貴な果実なんていう人もいますけど単なるコーヒー豆っすから。美味しいのは少しだけ育った環境に恵まれただけです」って(笑)

コーヒーは種類も焙煎度合いもいろいろあるし、お客様の好みも千差万別なので、特徴の説明は必要です。例えば誰でもわかるように...
「このコーヒーは深めの煎りでなんでそのまま飲むと苦めです。でも強いコクがあるのでカフェオレにしてもいいし、甘い物とかと一緒だと美味しいですよ」
みたいな感じの方が、テロワールだ果実だ言われるより、確実に伝わるのでは!?と思うんですけどね~…どうでしょう!?

コーヒーもワインも食も、なんでもそうなんですが、自分の感覚を信じていなかったり知識があまり無かったりすると、誰かが作った<流行>とか<TVでやってた>等をそれがいいモノのように感じちゃって鵜呑みしちゃう方が多い感じです。...実際ダイエット特集番組で「○○を食べれば痩せる」とかやると次の日そればっかり売切れたりします。食べて痩せる食品なんてあったら大問題ですよ。そんな訳ないじゃないですか(笑)

ま、今はインターネットがあるから違いますが、昔は、親や学校の先生、そしてTVが言うことが絶対的な時代でしたからね。そんな一方通行で育ってきてる世代はことさら洗脳されやすいのかもしれませんね。そうならないように自分の直感や感覚を信じ生きていきたいものです、ねっ(^_-)-☆

あ、最後に、じゃらんじゃらんのコーヒーにヘンテコなコーヒー物語やウンチク料は上乗せされていませんのでどうぞご安心してご来店ください

 

2016/2/24